日本の派遣という働き方:派遣と契約社員は何がどう違うのか

更新: 2026-09-20

まずはひとことで

明るいカフェで、電波のアンテナが表示されたスマホを手に、にっこり笑っているミヤ。
こんにちは、ミヤです。日本で最初に届いた仕事の話が「派遣」だったとき、サインする前に中身を一緒に確かめておきたいんです。

こんにちは、ミヤです。日本に来たばかりの方が生活に慣れるお手伝いをしています。多くの方は、日本での最初の仕事を「その会社の社員になること」だと思い描いています。ところが目の前に出てきたのは派遣(ハケン)だった、あるいは契約社員だった、ということがよくあるんです。どちらも劣った働き方ではありません。契約のかたちが違うだけで、いちばん大事な違いは「法律上の雇い主が誰か」というところにあります。

派遣では、雇用契約を結ぶ相手は人材会社(派遣会社)です。お給料を払い、社会保険の手続きをするのも派遣会社で、そのうえで日々の仕事の指示を出すのは、実際に働きに行く派遣先の会社になります。契約社員なら、働く会社そのものが期間を決めてあなたを直接雇います。どちらにも決められた契約期間と更新のサイクル、法律上の社会保険と有給休暇があり、そして仕事の内容が在留資格に合っていることが前提になります。

法律上、あなたを雇っているのは誰か

派遣には、二者ではなく三者が登場します。あなた、派遣会社、そして派遣先の会社です。雇用契約を結ぶのは派遣会社で、派遣会社は派遣先と別に取引の契約を結んでいます。ですから、給与明細も、契約条件も、社会保険の加入も、有給休暇も、すべて派遣会社側にあります。毎日通うのは別の会社のオフィスで、そこでは派遣先の指示と職場ルールに従って働くことになります。

この役割の分かれ方がいちばん効いてくるのは、条件を変えたいときや、困りごとが起きたときです。お給料、契約期間、休暇、労働条件についての相談は、たとえそれが派遣先のオフィスで起きたことでも、派遣会社の担当者を通します。職場の安全やハラスメント防止の責任は、日本の法律で派遣会社と派遣先に分けて定められていますが、働いている側から見て境目がはっきりしているとは限りません。最初の時点で、どちらが何を担当するのか確認しておきましょう。

契約社員は、構造としてはもっとシンプルです。働く会社があなたを直接、期間を決めて雇い、たいていは更新もあり、その会社の就業規則がそのまま適用されます。「契約社員」という言葉はかなり幅広く使われていて、仕事内容も更新の扱いも待遇も会社によってさまざまです。肩書きから想像するのではなく、書面で示された条件を読んでください。

派遣会社への登録と、スキルチェック

派遣の入口は求人への応募ではなく、まず「登録」です。オンラインか登録会でプロフィールを作り、これまでの職歴、日本語のレベル、働ける曜日と時間、通勤できる範囲、そして表計算・経理・翻訳・接客といった具体的にできることを登録します。複数の派遣会社に同時に登録するのはごく普通のことです。会社ごとに持っている案件が違うからです。

登録と合わせて、スキルチェックと短い面談をする会社も多くあります。タイピングや表計算の課題、日本語の確認のこともあれば、担当者が「ひとりでどこまで任せられるか」を知るために話を聞くだけのこともあります。書類の提示も求められるのが一般的で、在留カード、マイナンバー、本人名義の銀行口座、すでに持っていれば年金や雇用保険の番号などが挙がります。必要なものは会社によって違うので、何を持っていけばいいか聞いておきましょう。

登録したというのは、その会社のリストに入ったということで、仕事が決まったわけではありません。案件は入ってきた順に紹介され、断ることもできます。日本の派遣のルールでは、派遣先が直接雇用のように面接して特定の人を選ぶことは基本的に想定されていません。ただ、職場見学や事前の顔合わせの運用は会社によって差があります。そこをどう扱っているかは担当者に確認し、プロフィールはこまめに更新しておきましょう。

仕事の紹介と、更新のしくみ

案件を紹介されるときは、内容がひとそろいで示されるはずです。担当業務、派遣先の職場と場所、開始日、勤務する曜日と時間、そして契約期間。労働条件は書面で示すことになっているので、その書面こそが本当の提示だと考えてください。その前の電話ではありません。日付、業務内容の書き方、残業についての記載、そして現場で指示を出すのは誰かを読みましょう。

更新は、いまの期間が終わる前、たいていは数週間前に判断されます。担当者が派遣先の継続意向とあなたの意向を確認し、そのうえで次の期間が設定されます。更新しない場合の予告に関するルールや、次の就業先を探すために派遣会社が求められることについても定めがあります。自分のケースがどうなるかは、担当者に書面で説明してもらってください。

この働き方の背景には、法律上の期間の区切りが二つあります。同じ派遣先の同じ組織単位でひとりの派遣社員が働き続けられる期間の制限と、有期契約を繰り返し更新した場合に期間の定めのない契約に転換できるというルールです。細かい条件は法令で決まっていて、あなた自身の契約履歴にも左右されます。厚生労働省が案内を出していますし、自分にどう当てはまるかは派遣会社が説明できるはずです。契約期間と更新日は、自分でも記録に残しておきましょう。

社会保険、有給休暇、そして給与の流れ

健康保険・厚生年金・雇用保険の加入は、肩書きではなく法律上の基準で決まります。大まかにいえば、働く時間の長さと、契約がどのくらい続く見込みかによります。派遣なら加入手続きをするのは派遣会社、直接雇用の契約社員なら働いている会社です。どの保険にいつから加入するのかを、書面で確認しておきましょう。

年次有給休暇は、一定の期間を続けて働き、出勤の条件を満たすと発生する法律上の権利で、派遣社員にも契約社員にも適用されます。派遣の場合、有給は派遣先ではなく派遣会社に紐づきます。ですから、派遣先が変わったときや、案件と案件のあいだに空白ができたときに勤続がどう数えられるのかは、早めに聞いておきたいところです。

日々の給与事務は、派遣先が承認したタイムシートを派遣会社が自社の給与サイクルで処理する流れが一般的なので、提出の締め切りと支給のスケジュールは最初の一週間でおさえておきましょう。通勤にかかる費用の扱いは会社によって違うので、当たり前と思わずに確認を。また日本の法律には、同じ仕事をする派遣社員と派遣先の社員とのあいだで均衡のとれた待遇をめざすルールもあります。自社でどう運用しているかは、聞いてかまわない質問です。

仕事を在留資格に合わせる、そしてサインの前に聞く

在留資格は、できる活動の範囲を定めていて、仕事はその基準を通る必要があります。問われているのは「派遣という働き方が認められるか」ではなく、「派遣先で実際に行う業務が、在留資格で認められた範囲に入るか」です。この道すじでは雇い主と職場が別の組織になりますから、両方があなたの在留資格を理解しているか確かめ、案件や担当業務が変わるときには、その都度あらためて確認してください。

留学や家族滞在の在留資格なら、働くこと自体に資格外活動の許可が必要で、そこには週あたりの時間の上限や、働ける職場の種類の制限がついています。その仕事が自分の在留資格に合うか迷うときは、出入国在留管理庁が拠り所になる窓口ですし、特定の仕事が在留資格に合致するかどうかを示す証明書を申請することもできます。この記事は法的なアドバイスではありませんので、ご自身のケースは当局か専門の資格を持つ方に確認してくださいね。

サインの前には、短いリストを一通り聞いてみてください。書類上の雇い主は誰か。契約期間はいつまでで、更新の見込みはどう説明されているか。業務内容は書面になっているか。勤務時間はどうで、残業はどう扱われるか。派遣会社の窓口と現場の窓口はそれぞれ誰か。どの保険にいつから加入するのか。有給の勤続はどう数えるのか。通勤の費用はどう扱われるのか。案件と案件のあいだはどうなるのか。その仕事に本当に必要な日本語のレベルも聞いておきましょう。可能なかぎり書面で答えをもらってください。よい担当者なら、こうした質問は想定内です。

先につながっておけば、仕事の連絡が届く

この働き方には、とても実務的な事情がひとつあります。派遣会社は案件が出ると、登録しているスタッフに電話とSMSで連絡してきますし、その日のうちに返事がほしいこともあります。働きはじめてからも、タイムシート、シフトの確認、担当者からの連絡は、たいていスマホのアプリで動きます。ちゃんとつながる日本の電話番号は、ここでは「あると便利なもの」ではなく、働ける状態でいることそのものの一部なんです。

ですから、日本の電話番号とモバイルデータは早めに、できれば登録を始める前に整えておくのがおすすめです。鍵になるのは在留カードです。楽天モバイルなら在留カードだけでオンラインから申し込めますし、お使いのスマホが eSIM に対応していれば、その日のうちに使いはじめられることが多く、申し込みが終わってからだいたい15分ほどが目安です。手順はこのサイトの設定ガイドにまとめてありますので、申し込む前に最新の条件を公式のキャンペーンページで確認してくださいね。