仕事中・通勤中にけがをしたら:日本の労災保険のしくみ
更新: 2026-09-21
まず結論から

こんにちは、ミヤです。日本に来たばかりの方が暮らしに慣れるお手伝いをしています。仕事をしている最中のけがや、自宅と職場のあいだの通常の移動中のけがは、日本では日常の病気やけがとは別のものとして扱われます。いつもクリニックの窓口で出す健康保険証ではなく、労災保険(労働者災害補償保険)という別のしくみで進みます。
この違いがいちばん効いてくるのは、動揺していて体が習慣どおりに動いてしまう最初の一時間です。反射的に保険証を出すのではなく、仕事に関係するけがだとクリニックに伝えて、職場にもその日のうちに伝えてください。この記事はあくまで一般的な説明で、法律のアドバイスではありません。自分のケースにどう当てはまるかは、労働基準監督署や厚生労働省の案内で確認してください。
2種類の災害:仕事中と、その行き帰り
この制度がカバーするのは大きく分けて二種類です。ひとつは仕事をしていたことが原因で起きた災害、いわゆる業務災害です。建設現場を思い浮かべる人が多いのですが、範囲はもっと広く、厨房の濡れた床で滑る、店で荷物を持ち上げて腰を痛める、飲食店でやけどをする、機械に手を挟む、さらに場合によっては仕事そのものが原因で時間をかけて生じた不調も含まれます。仕事として求められていたことが原因で起きたのなら、それは通常の医療ではなくこちらに入ります。
もうひとつは通勤災害、つまり自宅と職場のあいだを合理的な経路・方法で移動する途中の災害です。出勤途中に駅の階段で転ぶ、帰り道に自転車で車と接触する、といったケースがここに当たります。寄り道のルールは細かく、長い私的な寄り道は経路から外れる一方で、日常生活に必要な用事は別の扱いになることもあり、その立ち寄りが該当するかどうかは事実関係をもとに判断されます。自分の移動が当てはまるか分からなくても、それは黙っていてよい理由にはなりません。起きたことをそのまま伝えて、判断は役所に委ねましょう。
健康保険証を反射的に出さない理由
日本の公的医療保険は、仕事以外の場面での病気やけがを想定してつくられています。仕事中・通勤中のけがの治療はそれとは別の流れに乗り、費用は普段の窓口負担のかたちではなく労災の制度で扱われます。だからこそ受付には最初から知ってもらう必要がありますし、黙って健康保険証を出してしまうと、あとからほどかなければいけない手続きが増えてしまいます。
実際には、受付ではっきりこう言えば大丈夫です。仕事中のけがなら「仕事中のけがです」、通勤中なら「通勤中のけがです」。労災を直接扱える指定の医療機関もあれば、そうでないところもあり、費用の精算のしかたが変わるので、そこがどちらなのかは窓口で聞いてください。そして、気づく前にすでに健康保険証を使ってしまった場合も——これは本当によくあることで、恥ずかしがる必要はまったくありません——分かった時点でクリニックと加入先の健康保険に伝えてください。直せます。早く気づいたほうが楽なだけです。
誰が届け出るのか、自分でどこに行けるのか
通常、手続きは共同作業です。会社が請求書の様式に災害の事実を証明し、診てもらった医師が医療の欄を記入し、その書類が職場を管轄する労働基準監督署に提出されます。多くの場合これは事務的に進み、あなたの役割は起きたことを正確に伝え、領収書を取っておき、記憶が新しいうちに日付や細かい事情を残しておくことです。
ただ、覚えておいてほしいのは、この請求はあなたのものであって、会社が与える好意ではないということです。職場が手続きを遅らせる、やめるよう促す、代わりに健康保険を使えと言う、そもそも仕事中ではなかったと争う——そうした場合、あなた自身が労働基準監督署に行って直接相談できます。こうした相談は監督署の仕事の一部です。日付、何をしていたか、誰が見ていたか、クリニックの書類など、手元にあるものを持っていきましょう。外国語の対応は署によって差があるので、事前に確認するか、通訳できる人に一緒に来てもらうと安心です。
勤続の長さで決まるものではない
よく耳にする不安が、入ったばかりだから、あるいはパートだから、まだこの保護を「得ていない」のではないか、というものです。この制度はそういう作りではありません。フルタイムでもパートでも、有期契約でも派遣でも、雇われて働く人に適用され、一定期間働いてからではなく初日から適用されます。保険料は会社が負担するもので、あなたの給与から引かれるものでも、自分で加入手続きをするものでもありません。
治療費のほかにも、療養のために仕事を休む期間についての給付や、重いけがが後に残った場合の給付があり、それぞれに条件と様式があります。この記事では金額や細かい要件はあえて書きません。そうした部分は変わりますし、事情によっても違うからです。個々の請求が認められるかどうかは、事実関係をもとに労働基準監督署が判断します。ここは全体像をつかむための入口として読んでいただき、具体的なことは公的な労働行政の案内や相談で確かめてください。
日本の電話番号とデータは早めに
ここまでの話に静かに通っている一本の線があります。それは、起きた当日より後のやり取りは、ほとんどが電話で来るということです。クリニックからは次の受診や検査結果について電話が来ます。職場からは、書類に書く内容を確認する電話が来ます。監督署からは、相談の折り返しや足りない書類について電話が来ます。どれも、机の前で落ち着いて座っているときにはかかってきません。日常を過ごしている最中に鳴るからこそ、実際に持ち歩いている日本の番号が、思っている以上に大事になります。
契約には来日後に受け取る在留カードが必要なので、渡航前に済ませられるものではありませんが、後回しにせず早めに片づけておきたいことです。在留カードがあればオンラインで申し込めますし、スマホがeSIMに対応していれば多くの場合その日のうちに、しかも店舗に行かずに、だいたい15分ほどでつながります。手順はこのサイトのセットアップガイドで追えますので、申し込む前に最新の条件は公式ページで確認してください。ミヤです。定住のお手伝いをするイメージキャラクターとして——このガイドが、一度も出番のないまま終わることを願っています。
